なまはげ立像について
秋田県男鹿市に古くから言い伝えられている守り神、なまはげ。男鹿市にはなまはげに関連する観光スポットが数多く存在します。その中でも、男鹿市に訪れる際にはぜひ立ち寄りたい観光スポットの1つが、なまはげ立像です。巨大ななまはげ像は圧倒的な存在感を放ち、写真にもよく映えるスポットだと言えます。
男鹿市で最も有名ななまはげ立像が「門前のなまはげ立像」です。門前のなまはげ立像は高さ9.99mであり、なまはげの言い伝えが残されている赤神神社の五社堂の石段999段にちなんだとされています。日本海に向かって大きく手を広げてそびえ立っている姿は迫力があり、男鹿門前地区のシンボルとなっています。
「門前のなまはげ立像」の他にも、大きななまはげ立像が見られるスポットがあります。1つは「男鹿総合観光案内所」です。男鹿の入り口付近にあり、交通のアクセスも比較的便利な場所にあります。ここでは15mの2体の巨大ななまはげ像が大通り沿いに立っていて、近くを通りながらの車の中からでもはっきり見えます。記念写真にもぴったりな立ち寄りやすい場所です。
もう一つは「男鹿温泉郷入り口」のなまはげ立像です。上二つのものほどは大きくありませんが、温泉郷に行く際には立ち寄りやすい場所であり、多くの観光客を迎え入れてくれます。
なまはげ立像の見どころ
なまはげ立像の見どころは、なんといってもその大迫力です。男鹿総合観光案内所のなまはげ立像は高さ15mにもなり、遠目から見ても圧巻で、一目でなまはげだと分かります。そんななまはげ立像は写真撮影にもぴったりです。「秋田旅行に来ました」というインパクトを残せるのはやはりなまはげとの写真で、団体客や大人数での写真にも映えるでしょう。
男鹿総合観光案内所には、売店や喫茶店もあり、景色を眺めながら一服したりお土産を買ったりということもできます。また、観光案内やパンフレットも充実しているため、ここで休みながらどこへ行こうか計画を立ててもいいかもしれません。
門前のなまはげ立像にも駐車場が整備されており、トイレや自動販売機なども近くに用意されています。人がたくさん集まることもあまりないので、ドライブの途中に立ち寄り少し休憩することも可能です。
海沿いで少し開けた場所に立っている門前のなまはげ立像は、景色もとても綺麗です。左手には日本海を眺めることができ、右手には緑の山々を見ることができます。うまく写真を撮ることで、海と山と立ち並ぶ家々となまはげのショットを収めることもできるかと思います。さらに、冬には雪景色の中のなまはげを見ることもでき、それもまた季節を感じられて風情があります。
また、他の観光地に行く途中にパッと立ち寄ることができたり、あまり時間を割かずに思い出が作れるのもポイントの一つです。男鹿にはいろんな観光スポットがありますので、ぜひ計画を立てて、それぞれ楽しみながら周っていただきたいと思います。
なまはげとは
なまはげは大晦日の夜、「泣く子はいねがー」などと大声で叫びながら近所の家々を巡ります。皆さんも子どもたちが泣き叫ぶ様子をテレビで見たことがあると思いますが、一体どんな行事なのでしょうか。
なまはげとは、年末になるとやってくる来訪神のことで、男鹿の人々にとっては昔から馴染みのある神様です。怠け心を戒め、無病息災、田畑の実り、山の幸、海の幸をもたらすと言われています。
現在では集落の青年たちがなまはげに扮して12月31日の夜にそれぞれの家を周り、なまはげを迎える家では料理やお酒を用意してもてなします。それぞれの集落によってなまはげの見た目にも違いが出るのが特徴です。
昭和53年に「男鹿のナマハゲ」として重要無形民俗文化財に指定されました。また、平成30年には「来訪神:仮面・仮装の神々」の一部として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されています。後継者不足などで年々なまはげを行う地域は減っているものの、こういった伝統行事を残していこうという流れも出てきています。
「なまはげ」という言葉は「ナモミ剥ぎ」という言葉が濁ってできたものだと言われています。「ナモミ」とは、冬に囲炉裏の前で暖まっていると手足にできる火型のことです。囲炉裏の前でいつまでも怠けている怠け者にはこの「ナモミ」ができるので、怠け者を戒めるために「ナモミを剥ぐ」、そこから転じて「なまはげ」と呼ばれるようになりました。
なまはげの起源には諸説ありますが、有名なお話が「漢の武帝」説です。中国の漢の時代に、男鹿にやってきた武帝に仕えていた鬼が起源だというものです。
武帝に仕えていた5匹のコウモリが鬼に変身し、村里に降りて作物や家畜、村の娘を奪い暴れ回っていました。村人は武帝に交渉し、「ひと晩で鬼たちに海辺から山頂まで千段の石段を築かせてほしい。それができなければ鬼を村に降ろさないでくれ。」と頼みました。
村人たちはひと晩で千段築くのは無理だろうと考えていましたが、鬼たちはどんどん石段を積み上げていってしまい、ついに999段まで積み上げてしまったのです。慌てた村人たちは、アマノジャクに「コケコッコ」と一番どりの鳴き真似をさせ、鬼たちに夜が明けたように思わせました。鬼たちは驚き、怒り、そばに生えていた千年杉を引き抜いて大地に逆さまに刺し、山に戻って二度と村に降りてくることはなかった、という昔話です。
なまはげはその時の鬼のことで、もう鬼が村に降りてくることがないように、村人たちが鬼の真似をして村を歩くようになったのがなまはげの始まりだと言われています。赤神神社五社堂にそのような言い伝えが残されており、そこにはなまはげ5匹が祀られています。また実際に、999段の石段や鬼が刺したと言われる千年杉も残っています。
そんななまはげには特徴的な衣装があります。それぞれの集落ごとに違った特徴もあるのですが、ここでは「なまはげと言えばこんな姿」といえる、共通している大きなポイントをいくつか紹介していきます。
面
顔には鬼のような面をつけていて、赤や青の色がよく見られますが、地域によっては黒っぽい面をつけているものもあります。素材は木の皮、木の彫刻、ザルに紙を貼ったもの、紙粘土などが多く、最近はプラスチック製や地元の木彫師による面も使われるようになっています。
出刃包丁、御幣(ごへい)
手にはナモミを剥ぎ落とすための大きな出刃包丁や、神の印とされる御幣を持っています。
ゲテ、ハバキ
藁でできた衣装で、面と合わせて神に扮する象徴的な衣装だとされています。ゲテは胴体部分に身につけるもので、ケダシ、ケンデ、ケラミノなどとも呼ばれています。ハバキは藁で編んだすねあてのことで、これを着けることで他所から来ることを意味しています。
ワラグツ
大晦日の男鹿は雪が積もっていることが多いので、雪道を遠くから歩いてくることのできる藁製の靴のことです。
なまはげ立像の周辺
「門前のなまはげ立像」の周辺には、他にもいくつかの観光スポットがあります。一緒に立ち寄るのにおすすめなスポットを3つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 赤神神社五社堂
なまはげ立像のすぐ近くには、言い伝えが残されている赤神神社があります。言い伝えにある999段の石段を山へ向かって登っていくと、頂上には国の重要文化財にもなっている五社堂が残されています。また、鬼が引き抜いて逆さまに地面に刺したと言われる千年杉も中に展示されています。
他にも「姿見の井戸」や「御手洗の池」など、伝承にまつわるものも多く残されており、神秘的な空間を味わうことのできる場所としておすすめです。
- ゴジラ岩
男鹿の写真スポットとして有名なものがゴジラ岩です。日の入りごろの時間帯に訪れると、日本海に沈んでいく大きな夕日と、海沿いに並ぶ大きな岩が綺麗に重なり「ゴジラが火を吹く姿」に見えます。お天気に恵まれた時にはぜひ一度訪れたい、観光客に大人気の絶景スポットです。
- おが潮風街道
門前から北へ戸賀あたりまでを走る県道59号は「おが潮風街道」と呼ばれ、ドライブにぴったりのコースです。このドライブコースの途中で門前のなまはげ立像に立ち寄ることができます。日本海の海岸は荒波に削られ、変化に飛んだ海岸線や岩肌があります。天気がいい日には、そんな荒々しい日本海を見下ろしながらのドライブができます。
また、他にも白糸の滝やカンカネ洞といった自然いっぱいの観光スポットもいくつか並んでいるコースなので、気になる場所に立ち寄りつつ、ぜひドライブを楽しんでください。
- なまはげ館、男鹿真山伝承館
門前のなまはげ立像からは少し離れるのですが、なまはげに関心があるのであれば、なまはげ館と男鹿真山伝承館に行くことを強くおすすめします。こちらの2つの施設は同じ敷地内にあり、どちらも観覧できるチケットなども販売されています。
なまはげ館では、なまはげについての知識を深めることができ、なまはげに関するさまざまな展示がされています。なまはげの衣装を身につけ記念撮影できるコーナーなども用意されています。
地域ごとのさまざまな特徴のなまはげが100体近く立ち並ぶ様子は大迫力で、いろんな表情のなまはげを見ることができるのも楽しみ方の1つです。男鹿真山伝承館は実際に生のなまはげを体験できるとても珍しいスポットです。
なまはげの行事は地域ごとによって特色が異なりますが、ここでは真山地域のなまはげを体験することができます。実際になまはげとなまはげをもてなす家の人の秋田弁たっぷりの会話を聞くことができ、中にはクスッと笑えるものもあります。
客のすぐ近くまで大声でやってくるなまはげは、大人の私たちが見てもものすごい迫力があり、貴重な体験をさせてもらえる点がおすすめです。
アクセス方法
①門前のなまはげ立像
<公共交通機関をご利用の場合>
「JR男鹿駅」から「秋田中央交通門前」行きバスで30分。終点で降りて、徒歩すぐ。
<車をご利用の場合>
秋田道昭和男鹿半島ICから1時間。駐車場は30台完備。
②男鹿総合観光案内所のなまはげ立像
<公共交通機関をご利用の場合>
「JR船越駅」から車で5分。
<車をご利用の場合>
秋田道昭和男鹿半島ICから国道101号経由15分。駐車場57台完備。
営業時間は午前9時~午後17時。定休日なし。入館無料。
③男鹿温泉郷のなまはげ立像
<公共交通機関をご利用の場合>
「JR男鹿線羽立駅」から秋田中央交通男鹿温泉方面行きバスで40分、雄山閣前下車すぐ。
<車をご利用の場合>
秋田道昭和男鹿半島ICから40分。駐車場はなし。