カンカネ洞目次
カンカネ洞について
秋田県の西に突き出るように位置し、全国でも有名な“なまはげ”の発祥地としても知られている男鹿半島。
そんな男鹿半島には神秘的な光景が見られる洞窟があります。
その名も『カンカネ洞』。
カンカネ洞は男鹿半島の加茂青砂という部落にあり、男鹿半島では最大級の海食洞です。
加茂青砂部落からは徒歩で行くことができます。
洞窟の高さ約3m、広さは約50坪ほどで、コンパクトな2階建ての家が入るほどの大きさです。
「日本海の波は荒れる」とよく言われますが、その荒波によって長い間侵食されてできた洞窟です。
カンカネ洞の岩質は全て流紋岩という岩で、マグマが冷えて固まることで生成されます。
洞窟内にも海水が流れ込んでおり、天井の穴から挿し込む太陽の光と融合して幻想的な空間を演出しています。
洞窟内に反響する波の音も心地よく、癒しのひと時を過ごすことができます。
ちなみに、“カンカネ”って聞きなれない言葉ですよね。
カンカネの由来は“カギカケ”。
その昔、海岸沿いの街道を通る際にカンカネ同は難所となっていました。
急な岩壁を登るために、外側にカギをかけたといわれています。
“カギカケ”の洞窟が“カンカネ洞”に転じたと言われています。
今は道路が舗装され、カンカネ洞を通るということはありませんが、道路がない時代の人々は苦労して通っていたのですね。
洞窟内には海に向かって3か所、そして天井に1か所の穴が空いています。
洞窟の穴から見える日本海も絶景ですが、洞窟内には静かに波が流れ込み、太陽の光に照らされると綺麗な青色になります。
太陽光が挿し込み海水を美しい色に変え、洞窟に反響する静かな波の音と海水の香り。
まさに五感で楽しめるスポットと言えるでしょう。
また、江戸時代に活躍した旅行家で博物学者の菅江真澄の記録にも、カンカネ洞について記されています。
菅江真澄は晩年を秋田で過ごしたことで知られていますが、江戸時代の偉人もカンカネ洞を訪れたと思うと、当時と想いが通づるようで感慨深いですね。
記録にはカンカネ洞の中に海水が流れ込み、波の飛沫が洞窟内に激しくぶつかる様子が描かれています。
ただ、現在そのような光景が見られるのは海が大荒れのときで、普段のカンカネ洞は穏やかな波が静かに洞窟内に流れ込んでいます。
200年前は地形や海の様子が異なっていたのかもしれませんね。
また、カンカネ洞周辺の地形が隆起した後も見られます。
男鹿半島は地形の変動が多いことで知られ、カンカネ洞周辺に訪れる地質学者も多いようです。
観光の名所としてだけではなく、学問研究の対象としても貴重な存在なのです。
さらに、カンカネ洞は“心霊スポット”としても知られています。
カンカネ洞には悪霊が住みついているという噂があります。1983年に起こった日本海中部地震で、遠足で加茂青砂を訪れていた当時の合川南小学校の児童13名が津波の犠牲になりました。児童らの命を奪ったのは、カンカネ洞に住む悪霊の仕業ではないかと噂されています。YouTubeなどでも心霊スポットとしてのカンカネ洞を紹介する動画も数多くアップされています。カンカネ洞の近くには日本海中部地震で犠牲となった児童13名の慰霊碑が立てられており、今でも加茂青砂地区の人々に大切に守られています。
また、終戦後にはカンカネ洞の背後にある本山に米軍の戦闘機B-29が墜落するという事故も起こり、こちらも慰霊碑が立てられています。
神秘的で美しい光景が見られるカンカネ洞ですが、心霊スポットとしても人気のスポットとなっています。
カンカネ洞に向かうには舗装されていない道を歩くことになりますが、周辺には様々な植物も見られます。
例えばつる性の多年草であるアカネ。
根っこが茜色をしているのが特徴で、草木染の原料や薬草としても利用される植物です。
5月頃に白い花をつけるシャリンバイも見られます。
元々は南方の常緑木ですが、加茂青砂部落では垣根として栽培されているようです。
大自然がつくり出した神秘的な洞窟や周辺の地形、たどり着くまでに出迎える植物や事故の慰霊碑。
見どころのたくさんあるカンカネ洞ですが、県外の方はもちろん、県内でも地元に住む方以外にはあまり知られていないようです。
まさに、穴場スポットと言えます。
ただし、訪れる際には事故には注意してください。
浸食が進んだ洞窟は落石や崩落の危険が潜んでいます。
また、洞窟内もゴツゴツとした岩場となっており、足元や履き物にも気を付ける必要があります。
長時間洞窟内に居続けない、サンダルではなく滑りにくい靴を履いていくなど、安全対策も万端にしていきましょう。
冬の男鹿半島は低温と雪、荒れる日本海でさらに危険が増します。
雪のない温かい季節に訪れるのがおすすめです。
男鹿半島には他にも様々な観光名所がありますが、訪れた際にはぜひカンカネ洞にも足を運んでください。
他ではなかなか見られない神秘的な空間と歴史の足跡を存分に体感できること間違いなしです。
カンカネ洞の見どころ
カンカネ同は波の侵食によって創り出された、男鹿半島最大の洞窟です。
かつては海岸沿いの難所として知られ、カギを掛けて人々が登った「カギカケ洞」が転じて「カンカネ洞」と呼ばれるようになりました。
カンカネ洞の見どころは、何と言っても洞窟内の神秘的な光景です。
長い年月をかけて日本海の波に侵食されてできた洞窟は、大自然が創り出した造形物。
広い洞窟の中に海水が流れ込み、心地いい波の音を反響させています。
カンカネ洞では天井にも穴が空いています。
天気のいい日には天井の穴から太陽光が差し込み、光の筋となって見えます。
透き通ったきれいな海水が、太陽光に照らされてより美しい青色に見え、幻想的な光景が広がります。
時間帯や季節など、太陽の光が差し込む具合によって様々な表情を見せてくれるのも見どころの1つです。
ぜひ天気のいい日にカンカネ洞を訪れ、心地よい波の音、天井から差し込む柔らかい光のハーモニーで癒されてください。
また、カンカネ同は心霊スポットとしても知られています。
YouTubeなどでも心霊スポットとしてのカンカネ洞に訪れる動画が数多く投稿されています。
なぜカンカネ洞が心霊スポットとして知られているのか。
それは1983年に起こった日本海中部地震の被害がカンカネ動に住みつく悪霊の仕業だとされているためです。
日本海中部地震では、当時加茂青砂に遠足で訪れていた旧合川南小学校の児童が津波の被害にあいました。
児童45名中、13名が津波にのまれ命を落としています。
カンカネ洞の近くには、13名の児童の慰霊碑も立てられ、地元民によって大切に守られています。
実際にあった事故の心霊スポットなので少し不吉な感じもしますが、マニアの中では有名な場所になっているようです。
心霊スポットに興味のある方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
ただし、洞窟に向かうまでの道や洞窟内は足場が悪いので、夜に訪れる際は危険対策を十分に行ってください。
また、カンカネ洞周辺の地質も見どころの1つです。
カンカネ洞周辺の男鹿半島西海岸には古いもので約9000万年前の地層が広がり、『世界ジオパーク』にも指定されています。
海のすぐそばに山がそびえ立つ地形は珍しく、隆起を繰り返したことが窺えます。
カンカネ洞含め、歴史を感じさせる壮大な地層も見どころの1つです。
カンカネ洞内部では海水と光が織りなす幻想的な光景、周辺には遥か昔からつくられてきたダイナミックな地形。
見どころの多いカンカネ洞、男鹿半島を訪れてた際にはぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
カンカネ洞の周辺
大自然がつくり出した神秘的な洞窟、『カンカネ洞』。
波の音、天井から差し込む光、波の侵食によってできた造形が幻想的な雰囲気を醸し出しています。
ぜひ男鹿半島に訪れた際にはカンカネ洞に足を運んでもらいたいですが、実は周辺にもおすすめスポットが多数あります。
『ゴジラ岩』をご存じでしょうか?
名前の通り、あの怪獣ゴジラの形をした岩が男鹿半島にはあります。
自然がつくり出したとは思えないほど、本物のゴジラにそっくりです。
地元では元々有名でしたが、2015年にダイハツ・キャストのテレビCMに起用され、全国的な知名度も一気に上がりました。
口を大きく開けて、海に向かって吠えるような姿は必見です。
また、鵜ノ崎海岸もカンカネ洞周辺のおすすめスポットです。
日本の渚100選にも選ばれている鵜ノ崎海岸。
遠浅の海岸で、なんと200m沿岸まで岩の上の伝って行くことができます。
透き通った海水が美しく「秋田のウユニ塩湖」とも称されています。
ゴジラ岩と併せて、カンカネ洞周辺のおすすめスポットとなっています。
他にも、漢の武帝が降り立ったと言い伝えられている舞台島や、男鹿の海岸線を一望でき、ドライブに最適なおが潮風街道など見どころが満載です。
カンカネ洞を訪れた際にはぜひ併せて楽しんでみてはいかがでしょうか?
アクセス方法
日本海の荒波で侵食されてできた男鹿半島最大の洞窟、カンカネ洞。
神秘的な空間は他ではなかなか見ることができません。
男鹿半島を訪れた際にはぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
カンカネ洞へのアクセスについて解説します。
カンカネ同は加茂青砂部落という地域にあります。
加茂青砂部落には基本的に車でアクセスすることになります。
マイカーでアクセスする場合は、秋田自動車道昭和男鹿ICから国道101号線、県道59号線経由で約1時間10分。
また、JR男鹿線羽立駅から秋田中央交通バス(男鹿温泉方面行き)に乗り45分、男鹿温泉で下車後タクシーで約20分の道のりになります。
自家用車で向かう場合はカンカネ洞への道順が少々わかりづらくなっています。
カンカネ洞の看板は『カンカネ洞駐車場』にあるのですが、そこから車で少し走る必要があります。
カンカネ洞駐車場を左に出ると「ここは加茂」の道路標識があり、10mほど先に「ゆとりで走ろう男鹿観光」という看板が左手にあります。
看板のある交差点を左に曲がると、加茂青砂部落を見渡せる坂道を下り、下り終えたところで道が二手に別れています。
右側の道に進み、海沿いの道をまっすぐ進むと公衆トイレと駐車場があります。
駐車場に車を止めたら、あとは徒歩ですぐにカンカネ洞に到着します。
もし道順がわからない場合は『男鹿半島・大潟ジオパーク』のホームページにも載っています。